監査で使うデータ分析ツール

執筆者 八木基次

執行役員

■国際認定CAATs技術者(ICCP)

■公認情報システム監査人(CISA)

大手監査法人において、IT戦略・計画策定支援、内部監査支援、財務諸表・内部統制監査の一環としてのIT監査等に従事。2019年より三恵ビジネスコンサルティング株式会社に入社。現在CAATs導入支援、業務改善支援等に従事。

CAATsは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法であり、

その処理手続において、監査人が入手したデータのインポート、加工、分析等の実施が必須となりますが、その際に現状実務の中でよく利用されているツールとして、Excel、ACCES、CAATs専用ツール(ACL Analytics、IDEA等)があります。

今回は、これらのツールに関して、CAATsに求められる要件である「扱えるデータ量」、「手続過程の記録」、「ソースデータの編集」、「監査手続との親和性」の4つの観点に基づいて行った比較を【表1】のとおり紹介します。

【表1】CAATs業務で利用されているツールの比較表

【表1】のように見てみると、「データ件数の制限がない」「実行した操作を記録する機能がある」「監査に特化したコマンドがある」等から、CAATs業務においては、やはりCAATs専用ツールの利用が最も適切であると考えられます。

このことを踏まえ、CAATs専用ツールの主な特長を以下に紹介させて頂きます。

◇特長1 処理できるデータ量が多い

CAATsツールにはデータ件数の制限がないため、大量のデータを処理することが可能になる。
→ ただし、パソコンのスペックに依存するため、処理できるデータ量は実質的には無制限ではない。

◇特長2 操作のログが残る

CAATsツールでは、実行した操作のログが自動的に記録されるため、監査手続の調書化に利用することができる。
→ 監査調書の効率的な作成が可能となる。

◇特長3 CAATsツールの画面上でデータの書き込みが行えない

CAATsツールではデータの編集ができないため(読み取り専用)、操作中に誤ってデータを書き換えてしまう危険性がない。
→ CAATs業務の中で、監査人が入手したデータを誤って書き換えてしまった場合、その後の監査手続に大きな影響を及ぼしてしまい、その結果、誤った結論を導き出してしまう可能性があることから、重要な特長となります。

◇特長4 監査に特化したコマンドがある

年齢調べ等を関数を使わずにメニューコマンドで実行することができる。
関数等の詳しい知識がなくても分析ができ、
操作が簡単なため、業務の引き継ぎも簡単になっている。

とはいえ、CAATs業務では、他部署への調査依頼や結果報告等のレポーティングのプロセスがあり、この点で、Excelの方が効率的である場面も存在することから、データ取込・加工・分析はCAATs専用ツール、結果報告(レポート)はExcelを利用するといった組み合わせも有効であると言えます。

なお、CAATs専用ツールでは、データ加工や分析の処理ロジックの開発と実行に当たり、スクリプトの作成が必要となりますが、記録された操作ログを活用することで容易に作成することができます。

加えて、ACL Analytics は、当該スクリプトの構文はわかりやすく、VBA等のプログラミング言語の知識を必要としません。このことから、CAATs専用ツールは、その活用により、監査手続の自動化を簡単に実現ることができ、また組織内でのITスキルの習熟度に縛られることなく、幅広いメンバーによる利用が可能であると考えられます。

以上より、データを活用したCAATs業務の継続的な展開や内部監査の高度化に向けて、CAATs専用ツールの利用が有効であることをご理解いただければ幸いです。

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